業界や会社の状況を知ることは、
転職活動の第1歩です。
とはいえ、どれだけ調べてもリアルな情報は得にくいものです。
「1日の勤務スケジュールは?」
「どれくらい給与をもらっているの?」
など、皆さん、関心ありますよね?
そこで、以前証券会社に勤務していた筆者が
自身の体験を基に証券会社のリテール営業の1日のスケジュールや給与について情報発信をしていきます。
もちろん、それなりの時が経過していますし、証券会社によっても異なるという点はご留意ください。
これから転職を検討されている方などの一助となれますと幸いです。
それでは、早速見ていきましょう。
このような方におすすめ
・これから転職活動を開始する予定の方
・転職活動に興味のある方
・証券会社に関心のある方
・リテール営業(個人向け)に関心のある方
・体育会系の業界・会社が好きな方
など
結論:証券会社のリテール営業への転職は慎重に検討しましょう
それでは、前回の記事と同じですが、結論から。
証券会社のリテール営業への転職は慎重に検討しましょう。
理由は以下のとおりです。
【就職・転職を慎重に検討する理由】
①証券会社の営業マンが持っている情報に希少性がないから
②ネット証券の方が明らかに手数料が安く良い商品が多いから
③何十年もハードワークをするのは難しいから
以上です。
給与水準が非常に高いため、魅力的に感じられる方も多いでしょう。
ただ、前回見たように対面型の証券会社のリテール営業に将来性を感じにくいでしょうか。
しかも精神的プレッシャーも半端ではないです。
それでは、そのリテール営業の1日のスケジュールについて、私が勤務していた頃のものを見ていきましょう。
私の証券会社の事情について
私の証券会社時代の事情(勤務スケジュールや給与など)について確認していきます。
結構給与も良かったですが、ハードワークでしたね。
それでは、いくつかの項目について見ていきましょう。
証券営業マンの1日のスケジュール
では、早速、証券営業マンの1日のスケジュールについて見ていきましょう。
できる営業マンはもっとタイトなスケジュールを組んでいるのでしょうが、対して顧客がいない若手の営業マンなんてこんなものじゃないでしょうか。
青色背景はマイナスポイントです。
【証券営業マンの1日のスケジュール】
※なお、下記のスケジュールは止める前のやる気ない時期ですのでご留意ください…
5:00~
・起床
・日経新聞を読む
※部課長会で紹介するポイントを考えながら
・モーサテ(※)を観ながら朝食
➢会社に行きたくなく、食欲なし。笑
※モーニングサテライトの略
6:30~
・出社
・毎日の資料印刷作業
・印刷資料を各人(上司、先輩など)の机に配布
・上司のパソコン起動
➢上の3つとも自分でやれよと思っていた。怒
・部課長会時の発表資料を準備
7:30~
・部課長会で「本日の投資信託のポイント」紹介
・課会(本日の目標数字が言い渡される)
・先輩社員とのミーティング(詰められる)
➢吐きそうになる、朝から目が回る。
・外回り用の資料準備
➢アポもないが、支店から逃げたいので嘘の予定を考える日もあった。
9:00前
<アポがない日>
・永遠にアポ電
※1日100件以上はザラ
➢先方の受付のおばちゃんに電話で切れられる
※手が腱鞘炎になるし、耳も痛くなる
※早く会社を出たいので、アポが取れることを祈る
➢アポがとれないと詰められる。
てか、そんなすぐに会ってくれへんし。
<アポがある日>
〔自転車の場合〕
・コンビニに行ってから、公園へ行く
コーヒー飲みながら、たばこを吸う
・アポ先に行く
・飛び込み訪問
➢公園でたばこのループ
〔営業車の場合〕
・コンビニに行ってからたばこを吸う
・アポ先に行く
・営業車でネットサーフィン
・飛び込み訪問
・営業車でアポ電
12:00頃
・昼食
➢ストレスで暴飲暴食。昼食後、コンビニでスイーツ購入。
13:00~
<アポがない日>
・永遠にアポ電
※1日100件以上はザラ
※手が腱鞘炎になるし、耳も痛くなる
※早く会社を出たいので、アポが取れることを祈る
<アポがある日>
〔自転車の場合〕
・コンビニに行ってから、公園へ行く
コーヒー飲みながら、たばこを吸う
・アポ先に行く
・飛び込み訪問➢公園でたばこのループ
〔営業車の場合〕
・コンビニに行ってからたばこを吸う
・アポ先に行く
・営業車でネットサーフィン
・飛び込み訪問
・営業車でアポ電
19:00~20:00
※訪問しても嫌な顔をされるし、そもそもこの時間にキーマンがいないので、公園でたばこを吸って時間をつぶす。
冬の公園はめっちゃ寒かった汗
※早く帰りたかったけど、数字が出ず帰社できないため
20:00すぎ
・帰社
・実績をホワイトボードに手書き
・上司に報告・連絡・相談
・先輩に報告・連絡・相談
➢大抵、ブチ切れられる。
・顧客ごとに対応履歴入力と顧客ノートの整備
・商品勉強会
・明日の準備
22:00
・帰宅
・遅めの晩飯
・ストレスで暴飲暴食(コンビニスイーツを毎日)
・ペンディング先向けの手紙を5通書く
➢これができないと、翌朝詰められます。 週末に書き溜めすることもシバシバ。
0:00~1:00
・入眠
➢ストレスで歯ぎしりがすごかったみたい。完全に私の性格に、この職場は合わなかった。
色々と書いてきましたが、書いていて当時を思い出しただけで、「うえぇっ。」となりました。笑
今は禁煙達成しましたが、当時、死ぬほどたばこ吸っていましたね。ことあるごとにたばこ吸ってた気がします。なんか、病的でしたね…
かなり日々の睡眠時間が短かったですね。20代前半で体力あったはずなのに、辛かったな。
証券会社・給与(ざっくり)
詳しくは記載できませんが、会社にもよるでしょうが、私がいた証券会社のざっくりとした給与は以下のような感じでした。
<1年目>
基本給(月額):200,000円程度
残業代(月額):50,000円~
ボーナス(年額):数十万円程度
家賃:数千円程度(独身借り上げ社宅)
社会人1年目は住民税が徴収されませんので、ある程度月収は ありました。また、22時までしかパソコンを付けることができませんでした のでそこまででしたが、残業代は高かったと思います。あくまで 時間の切り売りですが…
<2年目>
・基本給(月額):220,000円程度
・残業代(月額):50,000円~
・ボーナス(年額):1,000,000円程度
・家賃:数万円(結婚したため)
ボーナスががっつり増えました。ただ、住民税が徴収され 始めたり、結婚により家賃負担が増えたため、あまり生活 水準が上がった感じはないです。
<3年目>
・基本給(月額):240,000円程度
・残業代(月額):50,000円~
・ボーナス(年額):1,500,000円程度
・家賃:数万円
ボーナスが跳ね上がり、生活水準も高くなりました。子ども もいなかったので、海外旅行やブランドものを購入したりして いました。この時期は、倹約・節約とほど遠かった気がします。ただし、数字のプレッシャーも各段に増えた時期でもあります。 この頃はすさんでたな。笑<4年目>
・基本給(月額):360,000円程度
・残業代(月額):50,000円~
・ボーナス(年額):2,000,000円程度
・家賃:数万円
この年に転職しましたので、退職金も3年~4年程度で 5~60万円程度あったかと思います。ただ、住民税 の一括払いなどで、すぐになくなったと記憶しています。
こんな感じですね!
30前後の先輩に源泉徴収票を見せてもらいましたが、1,000万円手前でした。
大体、30歳くらいで大台に乗る感じですかね。世間の平均年収420~450万円程度と比較すると明らかに高所得ですね。
ただ、私が退職する頃(3~4年目)で既に同期の半数が辞めていました。
また、当時の6年目の先輩社員によると、その先輩の同期は10分の1になっていたとのことです。
ほとんど辞めるみたいですね。
ホール・セールスや管理部門の情報も聞いておけば良かったです。笑
リテール営業で苦労した・嫌だった点(個人的10選)
続いて、リテール営業で苦労した点について個人的10選を見ていきます。
是非、就職・転職の参考としてください。
では、いきましょう!
先に項目のみ列挙します。項目についての一言コメントを読んでいただける方は、下に続けて書きますので、ご参考ください。
【リテール営業で苦労した・嫌だった点(個人的10選)】
1.先輩顧客の引継ぎや支店顧客の割り当てが一切ない
2.たまに発生するミッションへの対応3.配属後、先輩社員との同伴営業なしにいきなり名刺1,000枚を渡され、「片っ端から飛び込み営業に行ってこい!」と言われたこと
4.空の数字(成果)を成績管理用のホワイトボードに書かされること
5.ほぼ毎週末に飲み会
6.休日のポスティング作戦
7.地元名士(社長やドクター、地主など)宛への手紙発送
8.ほぼ、毎朝・毎晩怒鳴られる
9.月1回の支店ゴルフコンペ
10.とにかく、切れる・怒鳴る先輩や上司が多い
1.先輩顧客の引継ぎや支店顧客の割り当てが一切ない
➢証券会社にもよるかと思いますが、私が入社した会社は一切顧客の引継ぎや割り当てがありませんでした。つまり、全て新規開拓で顧客を作らねばなりませんでした。
2.たまに発生するミッションへの対応
➢クリアするのに苦労するミッションが、たまに課されます。
「ある程度の肩書ある人との名刺交換を1日で30件してこいっ!」とか。
3.配属後、先輩社員との同伴営業なしにいきなり名刺1,000枚を渡され、「片っ端から飛び込み営業に行ってこい!」と言われたこと
➢配属後2日目にいきなり飛び込み営業(アポなし訪問)の命令が出ました。度胸は付きましたが…
4.空の数字(成果)を成績管理用のホワイトボードに書かされること
➢成果が出ていなくても、とにかく実績管理表に架空の数字を書かされます。
5.ほぼ毎週末に飲み会
➢私の配属支店では、ほぼ毎週末に飲み会がありました。
断ると、嫌みや小言を言われます…
てか、詰められます…
6.休日のポスティング作戦
➢次週訪問するエリアへ資料や名士などを事前にポスティングします。
仕事できない奴は、休日も仕事です。
7.地元名士(社長やドクター、地主など)宛への手紙発送
➢毎日5枚手書きの手紙を作成しなければなりませんでした。
8.ほぼ、毎朝・毎晩怒鳴られる
➢数字が出ている時以外、永遠に詰められます。
9.月1回の支店ゴルフコンペ
➢毎月1回、支店のゴルフコンペが開催されていました。本当に月の1/10程度の手取り金額が飛んでいきます。お金が貯まりませんでした。
10.とにかく、切れる・怒鳴る先輩や上司が多い
➢めちゃくちゃ怖かったです。ストレスで20kg程度太りました…
以上、「リテール営業で苦労した・嫌だった点(個人的10選)」でした。
いかがでしたでしょうか。字面だけではわかりにくいですが、とにかく人生が楽しくなかった時期ですね。
辛いわりに、実務処理能力や社会人としの能力が向上したかは不明です。
ただし、この会社出身であるということは、今でも評価されますので、3年程度ある程度名の通った証券会社やリクルートのような会社で勤めてキャリアアップするのも今後の人生の役にも立つかと思います。
リテール営業で感じたこと、学んだこと
今まで見てきた証券会社のリテール営業ですが、辛かったことや嫌だったことも多々ありましたが、多くの学びや気付き、感じたこともありました。
そこで、ここでは、私が証券会社のリテール営業を通じて感じたことや学んだことを挙げていきます。
こちらについても就職活動や転職活動の参考としていただけるとありがたいです。
ほな、いきましょう。
1.人にもよるが、頻回面談でお取引しやすい属性は、社長などの経営者
➢ご苦労されている社長も多くいらっしゃいました。頑張っていることを評価いただくこともあり、今日の糧となっています。ただ、二代目は結構ドライな人が多かった印象です。
2.人にもよるが、ドクターに情はあまり伝わらない
➢面談時に砂時計を逆さにされて「はい、アピールタイムスタート!」と言われたのは、人生で後にも先にもこの時だけでした。
3.普通の古民家でも1億円以上金融資産を保有していそうな人は割といる
➢失礼ですが、「この家がっ?」というようなお家で数億円運用しているなどということは少なからず何度もありました。結構どこにでも富裕層はいますね。
4.他社の支店長車のナンバープレートを記憶して、止まっている自宅や会社にアプローチするのは効率的
➢お取引にまで発展するケースは稀でしたが、他社の支店長車が止まっている家や会社は他社の大口先であるケースが多かったです。
特に地場証券は、超大口先が多かった印象です。顧客ごと転籍してきたなんて話も聞いただの聞いていないだの。おそらくその人は年収数千万円くらいいってたのでしょう。
5.開拓営業が忙しくて、まともな金融知識を取得する機会が少ない
➢売りための自社製品周りの学習に時間がかかるため、手数料(数字)にならないインデ
ックス投資や低コスト資産などの学習をする時間がなかったです。
販売手数料1、2%程度の商品の勉強なんかしている場合かという感じでしたね。
6.出世するためには個人の素養も重要だが、運の要素が相当大きい
➢稼げている先輩や稼げていなかったのに私が退職したあとに稼げるようになったという話を聞いた後輩は、たまたま大口の信用取引をしようとしていた顧客と面談できたり、数億円程度の資産運用を開始したいと考えていたとう顧客に会えたという共通点が非常に多いです。
結論(再掲): 証券会社のリテール営業への転職は慎重に検討しましょう
改めて言います!
証券会社のリテール営業への転職は慎重に検討しましょう。
今はyoutubeなど無料でかなり本格的な投資情報や運用手法を学ぶことができます。
いち証券マンの情報はネットで仕入れられる状況です。
あなたは、そんな対面型の証券会社に3%以上する手数料を払いますか?
ネットだと買付手数料0円の投信などもゴロゴロあります!
そうした背景により、金融リテラシーを持った投資家が過去になく増えてきています。
ネット証券による対面証券の駆逐は加速するでしょう!
どうしても関心がある方!以下の条件に当てはまったら検討するのもありです。
①ホール・セールスで活躍したいが、そもそも学歴等の問題によりホール・セールスで採用されない場合
➢リテール営業で地道に成績を出して、ホール・セールスの社内公募時に手を挙げましょう。
②営業の厳しさを学び、今後の起業活動などに活かしていきたい場合
➢大したことではないが、ゼロからイチを生み出すちょっとした経験ができます。
ただし、会社の看板で営業しているため、起業時にどこまで活かせるかは個人の素養によります。
③どうしても斜陽産業の厳しい営業を経験したい場合
➢時代と逆行する厳しい環境に身を置きたいという変態さんにはかなりお勧めです。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
何となく証券業界、特に対面型の証券会社が体育会的な雰囲気を感じていただけましたでしょうか。
私の人生においてとても大変な時期でしたが、どの業界や会社でもこの程度、もしくはこれ以上大変なことも多い世の中であると思いますので、酒のつまみ程度に暖かく読んでいただけるとありがたいです。
次回では、リテール営業で学んだ点などを書いてきます。
ではでは。今日もありがとうございました!